あかねいろのひと/恋月 ぴの
 
駒ケ岳は神々しくて
こんな青春もありなんだと首に巻いたタオルで額を拭った

着信音鳴ってメール届いたかと思ったら
もうちょっと待って欲しいと顔文字ぺこぺこ謝っていて

お向かいさんはご同伴の女性と朝の挨拶交わしていた

わたしよりちょっと年上のひとなのかな
はきやすそうな色合いのシューズ、楽しそうに弾んでいた

京王線の改札へ向かうおふたりさんを見送りながら

いってらっしゃい、気をつけて

小淵沢駅から乗り込んだディーゼル列車、汽笛を鳴らしコトンと動く



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