水の遍歴/木立 悟
ちを
常につかみつづけている
やわらかさに折れそうな
三日月たちです
青 青と白
塗り重ねながら 変わりゆくもの
標でありながら 導かれるもの
さらに青へ さらに白へ
何もない器に
落ちては光り
響きは消える
雨は 雨にぬるらんでゆく
手のひらは
たくさんの光を見てきました
もう終わりが近いのかもしれません
いえ これからが
はじまりなのでしょう
まだあんなにも
こぼしてばかりいるのですから
夜の青 夜の虹
空の地図を 火とともに折りたたみ
水はひとり
野の闇間をすぎてゆく
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