百合/ゆびのおと
 
苛烈な冬霜を生き延びた蕾が
ほんの僅かな春の光に
ほころびかけ

薫る

花びらは

柔らかく

春の日のあたたかな風に
散りそうに揺れる。

もう一度
深く地中に眠るため
もう一度
花である事を
思いだすため

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