偽物メッキ/M?lodie
 
久しぶりに取り出したCDは埃に塗れていた
だけど安物のスピーカーから流れてきた歌声は
今も誇りに溢れている

喝采を浴びても
あたしは笑えなかった
憧れていたはずの綺麗な服と踵の高い靴で
言われた通りにお辞儀をしたけど
下を向いたら涙腺が緩むから
それを見られることを全力で拒んでいた

手を伸ばせば得られたかもしれない
だけどそれを選ぶことは
自分を殺すことに匹敵するだけ
金メッキで出来た安物の証明は
所詮安物でしかなくて
埃に塗れて置き去りにされてる
そんなもの何の意味も形作らなくて
孔雀のように飾り立てられた自分が
いっそ襤褸を纏うよりも惨めだった


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