夜へ 夜へ/
木立 悟
て会ったのか
となりあっただけなのか
蒔くべき道を蒔きながら
彼は水の光に離れていった
人の居ない列車が
騒がしく夜を走り去る
原には灯
やがて冷える灯
何も持たぬものがひとり進みゆく
曇の匂い
雪は消える
痛みだけが残される
かたちのない道標が
ふたつのみどりにはさまれている
滅びながら 生まれながら
次の千年 次の億年を導いている
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