八〜十月の短歌/kaeru
梅雨明ける片側に傾いているしかないんだね朝のシーソー
野球帽はすに被ってきみは行く夏炎天の田んぼの道を
風多き場所より早く秋が来てまだ夏の日の街をかなしむ
水門はただ待っている秋の日は早や行き暮れてサイレンなき街
凛として秋の朝顔咲き続く緑わずかに褪せていく日を
裏も下もなければ犬の置物の笑顔に見つめられている朝
コスモスと――宇宙という名の花ひとつ地球の上のこの日の街の
待っている誰かが帰って来るんだねきみは淋しくないね自転車
いっぱいに花を広げてゆらゆらと秋の大気の重さを支えて
ぼくは怖くないライオンですが作り笑いぎこちなくないですか
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