カット詩集/生田 稔
みていくばくの雲
湖べにショパンの曲
かげり行く夕陽後ろに
「閑居」
閑居して愚善をなす
体操をすべし
茶を呑むべき
ねむい昼
窓辺の椅子に
秋風がふうわりと
「カタバミ」
カタバミよ道の辺に
不思議な音色グリーク
書物などと秋深し
「悲」
寝室の外しのび音が
二人だけただ二人だけ
なんとなくいつも悲しい
「昼」
鳩と共紅葉散り
椅子にもたれ神無月
目醒めれば秋風が
「長明石」
半里ほど秋の長明石
寿司田屋に
秋の暮れ
「妻」
妻道端にしゃごみて野菊摘む
鳶五羽ひつじ田に
白きコスモス摘んでやる
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