せめて/あぐり
 
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波に揺られているのがあたりまえでした
足が地に着いていたことなど稀で
たくさんのしあわせに濡れては
なんて、寒いんだろうって思っていた

あなたがとてもかなしそうで
あなたのゆびにふれようとしたら
もうすっかりひえきっていたその傷に
ざあざあと後悔が満ちてきて
ざあざあざあざあ
動かせないくちびるはなんて都合良いのだろうね
ほんのすこしの誠実さでわたしは

壊れてるものが愛しくて
わたしに愛された誰よりも今は
わたし、あなたに愛されているのに
髪を撫でてくれる手はきっと
恋じゃなくて、もう愛に近い
わたしなんか
わたしなんか
大切にし
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