せめて/あぐり
{引用=
波に揺られているのがあたりまえでした
足が地に着いていたことなど稀で
たくさんのしあわせに濡れては
なんて、寒いんだろうって思っていた
あなたがとてもかなしそうで
あなたのゆびにふれようとしたら
もうすっかりひえきっていたその傷に
ざあざあと後悔が満ちてきて
ざあざあざあざあ
動かせないくちびるはなんて都合良いのだろうね
ほんのすこしの誠実さでわたしは
壊れてるものが愛しくて
わたしに愛された誰よりも今は
わたし、あなたに愛されているのに
髪を撫でてくれる手はきっと
恋じゃなくて、もう愛に近い
わたしなんか
わたしなんか
大切にし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)