雨粒が耳にあける穴にたまる/あぐり
増えてく雨粒の呟き
ひとつずつわたしを穿ち
そうして出来る穴の中にきみが生きていければ良いのにね
叶わないことを考えるのには厭きてしまった
優しいふりで傷付けることが得意なわたしは
自分のからだだけは優しい穴をあけられないんです
長々と降り続く水とわたしの言葉は
どちらの方が重くて、どちらの方が透き通っていて
どちらの方がきみの咽を潤せるだろう
きみにあけられた穴の中に
あいしてる という水滴をためつづけてる
あふれることはないんだ
そういうさみしさに耳がかじかんで、
ただもう今は
痛いさ
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