雨粒が耳にあける穴にたまる/あぐり
{引用=
滲んできた雨が
ぽつりと靴に刺さる白い真昼
耳の寂しいわたしは
(あぁ ピアスがほしい)
なだらかな耳朶に
ひそやかな穴をあけてしまうことは
どうしようもなく哀しくて
正当な理由を忘れて昔、
ないがしろにしたからだを想えば
今はもう
やわいこの肌をだきしめなくちゃいけない
爪をたてて×印をつけては
このからだに相応しい言葉が滲まない回数を刻んでいる
冷たい雨だろう、外は
震えているんだろう、雲は
遠いきみを想っても
この耳の寂しさは流れていかないから
そういうことでつぐなうしかないんだとする
追いたてるように責めたてるように
増
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