Welcome To The Lost Child Club/within
 
それは八〇年代に現れたバンドで、知ったのはオールナイトニッポンというAMラジオの深夜番組だった 当時十五歳だった僕はその音と詞と声に夢中になった CDプレイヤーも持っておらず、レコード店というものが縁遠い存在だった僕は、彼(ヴォーカル)の番組をカセットテープに録音し、その異常に音質の悪い音源を繰り返し聴いていた 彼が歌うのは愛と自由と夢とロックであり「愛を 愛を 」と叫ぶ彼の言葉で始まるその番組は二年続いた 彼は埋もれていた僕を掘り起こしてくれた 十代に芽生える青い朝の感受性というものがあるとするならば、僕にとってまさにそれはこの時に育まれた バブルという大きな破壊のもとで過ごした十代半ばの僕に「
[次のページ]
戻る   Point(2)