秋の種。/おっぱでちゅっぱ。
 
んだ襟先。

振り払い、羽ばたき、飛べぬまま消えていく。





『柳都長屋の秋』

(長屋敷の簪、秋の風)

そら、高くあり、簪、とんでいる。

飛来して留まった、右指先を軽くゆらら、茜。

傾げて、微笑む悪戯な繋がりを放す前の、茜。

秋草を見つめていた。いつだって、危なっかしい。

立ち振る舞いが、蜻蛉のようで、飛び立ってもまた飛来する。

ゆっくりと、ゆっくりと、風と石畳の白壁へ寄り添い、

ちがう、ちがうと、この季節を憾み、

別離を重い、のままに、傷つけてほしい。





忘れないようにと、
切られた、
小指。
左。
てのひら。





(秋の風が、門構えを、叩いて)





銀の笛の、

奏でる指先は、その拍子にのせて、

あなたとの、すべてを。

取り囲んでいた、すべてを。

秋に還す。 

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