死んでしまった女の子から貰った手紙/あらら
時を経て変わったのは僕の方だけなのだということ
そしてあの時彼女が言いたかったことが何だったのか
読み返す度に少しずつ
それはごく本当に一部のことだけなのだろうが
分かってくるような気もするのだ
何が彼女を追い込んでいったのか
彼女がどんなところに迷い込み戻れなくなってしまったのか
手紙からは今もよく分からないのだけれど
返事を書けば良かったとは思わない
しかし今四十四歳の僕は
今四十六歳の君となら
良い友達になれる筈だと心から思う
たとえば出張のついでとか何年かに一度
君の住む街へ出向き二人で食事をし
フィッツジェラルドやエリュアールの話をして
確か酒には
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