食物月/縞田みやぎ
花さえ見れればと
母は言う
明日の食べる分だけと
母は言う
めだかを増やすのだと
母は言う
自然に うまれたのだから
ベランダにありったけの鉢を並べ
全て 上を向かせている
これから秋が来るのだが 青く
摘まれる枝をもたない
これから冬が来るのだが 青く
やわらかな発芽をする
ターシャは結局 つくりものだった
展覧会に こぎれいにしたご婦人がたが集い
いいわよね すてきなのよねえ
と微笑みあうことが もうぜんたい
いずくて いずくてたまらなかった
らしい
フィクションなのよ ぜんたい 結局
よく稼いだんじゃないの あれは
が
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