夢日記〔未完〕/馬野ミキ
 



女の子たちは
髪の毛の手入れにこだわった
かたちや長さについて
そういう時間は毎日一時間あった
それからどの子も足の裏や肘やひざがきれいだ
でもあちこちに泥や土や砂がついているのには無頓着で
それは男の子たちも同じだったけれど
すべてのほくろは
結ぶと星座のかたちになって
夜更けには二人でそれをつつくのだ




歌や詩やアートのようなものは存在したが
それらは作品という概念では捉えられなかった
録音をしたり
後世に残そうという以前に
世界中にその生のままで浸透するからである
それらは契約やジャンルや印税以前に
生きる養分として分け与えられる




食べ物は食べても食べなくてもよいものだった
ただ、食べるということは強く流行した
これはある種の趣向だ
グルメとはある種の変態ではないか?




どこかに出かけてしまうことはとても大切なことだ
どんなに遠くへ出かけても人は一人ではありえない
どんなに孤独な人間にも無名の星がまたたいたよ


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