冬支度/吉田ぐんじょう
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十月も末になるとパソコンが
鼻をすするような音を立てながら起動するようになる
動作もどことなく鈍くて
悲しいつらい気持ち悪い
という類の言葉は迅速に変換されるのに
楽しい嬉しい気持ちいい
という類の言葉は
いっしゅん躊躇うように静止してから
しかたなさげに変換される
きっとさびしがっているんだろう
おまえは夜の森みたいに真っ暗な空間で
こわいくらいたくさんの配線に囲まれて
それでも発光しつづけなきゃならないんだよね
それはどんなにか孤独なことだろう
囁きながらなぜたりさすったりして慰めてやるのだけれども
いったい何をさびしがっているのかは
ちっともわか
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