葉書/yo-yo
忘れるほどの歳月の向こうから
一枚の葉書が届いた
まだ文字を知らなかった
三歳の娘がいつか
手紙のまねごとで落書きしたものだ
この秋の古い引き出しから
それは落葉のように
はらりと落ちてきたのだった
文字にならない文字
いつか読み解くかもしれない
誰かのために
言葉は遅れてやってくるのだろうか
つぶやきのまま
文字にならなかった文字を
言葉にならなかった言葉を
いまだ私は
文字にできないまま
言葉にもできないままで
その葉書を
ふたたび
引き出しの細いすきまに
そっと差し入れた
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