日日夜夜/吉田ぐんじょう
制服の胸で何かを育ててる紺の靴下はいた娘ら
文庫本読んでる君の眼の中に寄せては返す海が見える日
昼下がりだらりと畳でねむってるわたしだんだん蛇になってく
そこだけが青空みたいな色だからさびしい夜はローソンへゆく
キッチンで背中まるめて立ったままプリン掻っ込むわたし主婦です
「すみません」
それがわたしの携帯で
「す」
と打つとまず出てくる言葉
板チョコをいちまい持って外へ出る遭難しても死なないように
耳奥で小人が騒ぐこんな日はすべてを捨てて旅に出ようか
イヤフォンを耳へ突っ込み踏み切りを幽霊みたいにわたる子供ら
日日夜夜…にちにちやや。
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