いる/蒼木りん
 
傍に居よと
見せつけられている今

ご飯を食べても満たされない
その空洞を
甘い柔らかいもので埋める
儀式は一日の終りに

もうさびしくないわたしがいるから

月を見上げると
君と過ごせない時間が
哀しくなるから
夜の影を踏みつける

猫が
猫同士でする時のような
口元で何か言っている
お前の言葉はわかるけど
声が聞いてみたいよ

新幹線も電車も走らない時間が
一日のうちでいちばん
死んでるようで
いいね
神様も寝てるみたいで

仔猫とわたしが眠る月明かりの部屋

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