秋桜は大人になってゆく/
あ。
るさ
深すぎる空にことりと身を沈め
季節の色を感じてみれば
身体はひとりでにうすく赤く染まってゆく
のぼって来た階段を見下ろしてみる
あの頃のわたしにはたくさんの種がくっついていて
どれがこの小さな花なのかわからないけれど
ひとつひとつの段には確かに花が咲き
優しく愛しく回帰していくって知っている
秋の桜はそろそろと首を振る
懐かしさに思わず手を伸ばすと
袖口から花びらが一枚、ひらり
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