錘/異邦人
十個風船を持ったら空を飛べるかな?
百個風船を持ったらどうだろう?
もっともっといっぱい持ったら?
そんなことを考えていた子供時代
中々身体が宙に浮かずに悔しかった
お母さんからご近所のおばさんまで色んな人と
ピンと張った糸で繋がっていたからかな?
今にも宙に浮きそうな大人になった僕が
弛んだ自分の糸を眺めながら羨んでいる
もう少しだけ
もう少しだけ
糸を手繰って
手に余るほどの風船を抱えた
僕の身体を押さえてほしい
それでも中々糸を巻いてと頼めない大人の僕
そろそろ宙に浮くんじゃないかと怖がっている
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