passage/あおば
従う者どもの
エンジンの響きが
風を切り裂くように
悲鳴となって
ひとしきり
聞こえた後は
ビーボーとなる風の音が支配して
波は荒く
沈んでゆくボートの群れにのし掛かり
引き剥がし
散乱させて
湖は
海となっていた
「風の復讐」というタイトルをつけ
懸賞に応募投稿したが
なんの返信もなく
投稿の海に沈んだようだ
しかばね共が
のたうちながら
リサイクルされる日は
来るのだろうか
静かに回転する物音が
部屋の隙間から
気の抜けたビールの匂いを運んでくるから
そろそろ此処も逃げ出さなくてはならないと
覚悟を決める
「poenique」の「即興ゴルコンダ」未投稿作、タイトルは、小原 明季さん
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