動脈のような潮騒/ホロウ・シカエルボク
赤い炎がちらつく、長いこともう死んでしまっているみたいな気分で東からの光を眺め続けてしまう、夜明けだ、夜明けだと、小鳥たちが囀る、排気ガスが彼らの喉を少し壊してしまっているかもしれない
あー、あー、俺はカーテンを開き窓に顔を張り付けて叫ぶ、生き残った、生き残った、夢から生き残った、夢から生き残ってしまった、どうすればいい、どうしたい、幸せそうに死んだなら羨んでもらえたのかい
なにもかも捨てるには積み上げてきたものが尊過ぎて、そうだ、俺は自分の人生をそれなりに愛してきた、だから歳を食ったのだ、得てきたもののすべてが長々とくすぶり続けるから
潮騒が聞こえる
終わったんだ
すべて
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