この空の底に/あぐり
 
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この空に底があるとして
それなら沈んでいるのは
きみが何万光年も前にさけんだ言葉のなきがら。
鈍色に光っているそれら

かえりたかったところ、

わたしの瞳の縁であったという仮定を夢にみた
この夜にまた、
ちいさく灯されているきみの泣いた香り

どんなにも
どんなにも
だきよせたってゆすったってうたったって
微睡みのなかで聞いた雨音ほど微かな、
その震えに気付いたって
きみが覚えるだろうかなしみを先に知ることはできず
ただただ
愛しさに浸らせた声、こえ 、こえ
ほんの少しでもたかいところ
置いていこうとしている
ゆるしてなんていえな
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