冬の夜空ったら/恋月 ぴの
冬の夜空ったら輝く星ひたすらまぶしくて
手編みのマフラーとか恥ずかしい思い出の数々
泣きながら破り捨てた一枚の写真
私の肩を抱いていた男の顔
なんて
忘れたような
未だ忘れられないような
押入れにしまい込んだままの衣装ケース
久々に開けたら使いかけの毛糸たくさんでてきた
赤やら
黒やら
そして目にも鮮やかなピンク色まで
たぶん幸せってやつに浸りたかったんだろうね
おそろのセーターでもと買い込んだ毛糸
膝頭から
ベッドの下までかくれんぼ
あの子んちの飼いねこだったら遊び相手と喜ぶんだろうけど
私って飼いねこじゃないし
せ〜んちめんたる!
なんて
私には似合わないって今さっき決めたんだ
ふぁふぁふぁふぁ…ってオーティス・レディング
シャウトして
冬の夜空ったら輝く星ひたすらまぶしくて
優柔不断な私の涙腺刺激しまくるけど
ぐいっ!と
安っぽい涙なんかこらえてやって
私ってさ、ずいぶん大人になったものだよね
と滅多に褒めてやらない自分を褒めた
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