冬に会え/
木立 悟
左腕だけが鋏に火に触れる
指五本喰らうべくして音喰らう
月尽きて地に声低く骨の笛
水滴をはらうが如く己れ斬る
塩を越え空の辻にて絶命す
策も無く死せる太陽ここに在り
泥炭は「おまえは焔(ほむら)」繰り返す
嘴(くちばし)を緑に預け火を兆す
廃船が廃洋の陽を堰き止める
病む肺に光の繰(く)り言つもりゆく
この先はくちびるに会え冬に会え
戻る
編
削
Point
(4)