おひとり戦記 (朗読用)/あおば
 
も見えない
ここは公園のベンチ前だ
東京生まれは撃たれ弱いと
背筋を伸ばす
直射日光の延髄切りに耐えた首筋も
脊髄パットの衝撃には耐えきれないようで
街道ライダーは
暑い中を身軽な格好ですっ飛んでゆく
ぶつからないように
こけないようにと
それだけは切に願う
神仏を信じていないものの願いは
どこに向かうのか
鎌倉街道から
永福寺に向かう途中
明日からは秋といわれたツクツクホウシが
聞き取れないだみ声で
懸命に経を読む
まだ少し蒸し暑いのが救いと
公園の水飲み場で水を飲む
縄文人の居住跡がコンクリートで保存されている
四阿のような家か
縦穴式の住居か

[次のページ]
戻る   Point(2)