さんぽ/キタノ
 
蝶々を捕まえたら七色より彩やかな粉になったから

キラキラした草の露を眺めていたら、外に出ずにはいられなかった

あしのうらをつんざく草の生えた地上は
闇の中に根を張る喧騒から響くクラリネット

また一歩 もうすこし ゆっくり歩こう 好きなものは 私の 脳

七色より彩やかな粉はいつしか皮膚に溶けて、僕はその時から樹に登れるようになった。

僕にとって世界がどれ程大切なものであるか、樹の上から、眺めてみたら、ふっと太陽が昇ってきてまぶたが暗闇を作ったけれど、人間っていがいとたんじゅんだった

目を閉じている間に水になり、樹肌に溶けて導管を通って、一生を経てまた、人間に戻った
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