入院半径2メートル/umineko
お見舞いの花が光を指して咲く 私の代わりに呼吸をしつつ
牛乳と着替えと洗面歯ブラシが お先にどうぞと譲り合う朝
薄い壁一枚隔てて悲しみと 希望の声で幼子が泣く
先輩ここめっちゃなじんでいますねと 喜ぶべきか悲しむべきか
欲望をまるで無視して配られる 食事言われるままにかきこむ
窓の外生活がある 遮断機が規則正しくまた降りていく
朝なればヒーロー戦隊悩み深く 何故にイケメン何故に解決
カーテンの格子模様にモンドリアンふと思い出す我の退屈
「点滴がなんか止まった気がします」腕をねじれば落ち始めるも
音楽は気持ち高めるものでなく寄り添うものだと知った今なら
入院の半径たった2メートル 私が私でありますように
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