でかけた先々でうたをうたう/フユナ
あなたの声が少し違った
あさってに投げたボールがまだ投げられ続けているのがわかった
息がきこえた なにかの
おそらく
おどるだれかの
足をとめて とめて 少しだけ、とめて とめて
(前進、しかるべきのち、ポーレチケ)
どこかでいっていた
これは歩行ではなく、舞踏
おそらくワルツではなくてポーレチケ
農作業の脇にあるビニールハウスの片隅の
犬に養われている小菊
下り坂の途中で干からびていくミミズ
さよーならーと声をあげたこども
笑い声
これは歩行ではなく、
前へは進まなくてもきれいなだけの断片
止まった足でそれでもうたをうたう
ポーレチケのうたを
いままでうごかした足を、とめて
でかけた先々で、うたをうたう
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