でかけた先々でうたをうたう/フユナ
 
どこかでいっていた

これは歩行ではなく、舞踏

おそらくワルツではなくてポーレチケ

農作業の脇にあるビニールハウスの片隅の

犬に養われている小菊

下り坂の途中で干からびていくミミズ

さよーならーと声をあげたこども

これは歩行ではなく、

前へは進まなくてもきれいなだけの断片

足に塗った金色

戸惑うけれど持ち続けることばたち

バスを通り過ぎたら、そこには乗客たちのうたが落ちていた


(前進、すれどもおどろう ポーレチケ)


この世界では

もう新しいものなどないかもしれない

あるかもしれない

けれど


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