これだけは言える/空都
あんなことが無かったら
私はあなたを目で追うことは
無かったと思う。
学ランのざらりとした感触や
やさしい匂いを
思い出したりする。
でも、
どこか冷めている自分もいるの。
「どうせ、今だけ」って。
剥きだしの太股を自分のあたたかな手で
ぺたりと触っている感じ。
熱と冷気が同じ場所から
違う方向に向かって伝わっていくような、
そんな感覚に近い。
それでも、
最近夢を見る。
一定の距離を保って2人で歩いている。
決して交わることのない直線上。
なんて夢のない夢なのかしら。
ただ間違いなく言えるのは
あなたのことしか考えていないということ。
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