サイバネティック・オーガニズム/蝶澤
それぞれの宛先の交換
君は「いつでも受信する」と言ふ
発信はされぬのか
大勢いる部屋の中で
ふたりだけマスク
その下の唇は如何
虚ろなる眼
咽喉の痛み
御揃い
私は此処から逃げ出しておいて
「残念ね」だとほざく
身が軽くなった隙間に
君か?今更
下界で遭遇するとしたら
どうなるんですか
君のその不機嫌なる無表情はまるで
欠陥のある人造装置
目つきに苛立つ
笑顔に畏怖
曖昧性
心配
こんにちは
よろしく
さようなら
妙な距離
体温は温く
その間にあるものは
この世にない
かたち
未来が
ない
戻る 編 削 Point(1)