水と子/木立 悟
地から海へ
多くの雨が歩いてゆく
手足は重なり
音を残す
影降る道に映る姿
沈む光の過去の行き先
まいあがるもの 追う手から
昼の星のように逃れて
雨の手足についていき
うたはまだもどらない
空と地の水は話しつづける
外の灯り 窓辺の菓子
土の底の笛を聴き
小さな足跡は地を巡る
遠いうたが聞こえくるたび
窓辺の菓子は消えてゆく
光の吹雪が坂道をゆく
見えない頂へはばたきはばたく
枝を脱ぎ 繭を脱ぎ
風はさらに灰にまばゆい
道の脇には塀がつづく
雨のむこうの雨が近づき
雨をくぐり 雨を昇る
塀の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)