野宿考/たりぽん(大理 奔)
 

そこに左手を添えるために
アスファルトの途切れる場所を探している
私のからだを投げ出す場所は
小さなムシたちのわずかに湿った住処の
その上でありたい、そして
右腕が支えきれなくなった
重みで沈み込む柔らかさが
頬に感じる水滴の冷たさであってほしい
仰向けになった視線の先には
冬の星座が見えていて
惑星ごと一時間に十五度の速度で
私を置き去りにしていくだろう
私の右膝は
明け方の湯たんぽの暖かさに挟まれ
ムシの住処へとすすんでいくだろう
左手と、右手を添えるために
生きた温もりと明け方の冷たい滴
うすい布地のように霧散する場所は
すべてをゆだねるところではなく
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