ちひろ/山手線/ヘンナー・キョニューりな
ら下げて
それぞれ帰る家に帰るのだ
おおさじ1くらいの白濁した精液の
何時間ぶんの何日間ぶんの物語をティッシュにくるんで始末していく
ぐるぐるぐるぐる続いてく
山手線みたいに続いてく
高架下の安い居酒屋
月曜から金曜までサラリーマンでいっぱいで
それを横目に今日働いたぶんの給料を取りに行く
徹底的にぶっ壊したこころの
壊しきれなかった端っこに引っかかる
ほんの
揺らいだぶんだけ
やさしく
少しだけ距離の近くなった人たちのことを思い出す
もしかしたらちひろ
ドアの向こうで繰り広げられる90分は
なによりも近くて
安心だったのかもしれない
わたしもいつか家族を持つのかな
そうしたら
高架下
山手線
つまり
ささやかな幸せが東京を一周してるって話
誰かに聞いてほしいなあ
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