○月×日 日直 ユメ夫/ヨルノテガム
身体の中に 五線譜が引かれ、
逆向きに音符はゾロゾロ運ばれていく
蟻の隊長によると 今日はドビッシ―祭りでございやす と
耳の底で解説は流れた
豊穣な行進、繊細な何万匹の足音が一匹の足音へと
個体は徐々に拡大し ついに全く静まってしまった
ほんの最後にはドビッシ―によるピアノタッチが
蟻により体中にツボ押しされていった
ようやく心地よく目覚めると
うつ伏せてゴーギャンの画集によだれがついている
暑い南国の女と抱き合う夢だったと、
それくらいしか想い出せなくなる
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