子を想う/吉岡ペペロ
うっすらと
冷えた微風にほんのりと
さやかな湿度とキンモクセイ
夜道をスーツは落ちてゆく
まよこを電車が落ちてゆく
ほんのりと
さやかな湿度と焚火のなごり
胸のなかが外気にふれる
そんなときだ
失った子の名を呼んでいるのは
顔さえ知らぬ
わが子の名を呼んでしまうのは
うっすらと
冷えた微風にほんのりと
さやかな湿度とキンモクセイ
夜道をスーツは落ちてゆく
まよこを電車が落ちてゆく
ほんのりと
さやかな湿度と焚火のなごり
胸のなかが外気にふれる
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