反射光/あぐり
いままでありがとう
と
おとうさんに言った真昼に
わたしの咽を埋めていた錠剤の苦さは
冬の海のように痛かった
泣かないで、いこうって
そう決めて勝手に決めて自分で決めて
眼を閉じて大きく息を吐き
おとうさんに電話した真昼に
どうしてもどうしても声は揺れて
あつい海が零れ続け 広がり 沁みては 浮かぶ
カーテンの隙間から差し込む日差しを
見上げながらうずくまっていた
びんを抱き締めて
それは冷たくきらきらと反射され
指先とともにきらきらと反射され
暗い瞳の中できらきらと反射され、
どうしてもどうしてもこれで良いのだと泣いては
わたしの傍にいない人を求めるこ
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