デッド・スタート/みつめ
こぼれだした黒が
赤いスカーフに滲んで
みずたまりをつくれば
まちは夜更け
くりかえされる嘔吐により
流出したヒトたちは
仮面のような白いかおをぶらさげて
あたまのかたすみにある記憶の塵を
ゆびであつめては
カテゴライズされた現在を
殺したくなっていることでしょう
どうぞ、
あの理想を思い出せるのなら
どうぞ、
あの影が立体になるならば
日付変更線を
幾度もたやすく飛びこえて
夜が乾いて火がつくころ
わたしはわたしに生まれなおし
最初の呼吸をはじめよう
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