転寝から/木立 悟
夢の雨がまだ眼前に在り
音や光をふちどっている
雨のなかの陽 ひとつをひとつに
注ぎ込む陽
空の器械 地の器械
水の外から 降り来る声
緑にふくれ ゆうるりと揺れ
羽を成すもの それぞれの毒
数え切れない入口の くぐればさらに入口の
たどりつく午後 白い手の午後
うねり 水 静けさ
宙の鱗 遠去かる
赤茶色をした午後から午後へ
手から手へ唱を運び去るもの
しとね 湿り気 双子の夢
眠りをしぼった 一杯の水
昼も午後も闇は隠れる
内臓ひとつ 明るさを増す
はざまの花 石の道と雨
鈴を揺らす手 窓をすぎる手
蛇の夢 音の夢
真昼の壁と指の影
さしのべられた手の到かなさ
肉厚の まぶた
何もかもひらき 浴びている
何もない音を聴いている
どこからか冬は来る冬は来る
傾いだままの雨のなかを来る
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