白昼夢/
みつめ
三月の空が
そっと目をふせて
桜前線をいたずらにもてあそぶ
うすむらさきの頃
散り散りになっていく ふたりの残像と
つみかさなった青いことばの回想録は
南風に ふうわり、とすくわれて
どこかへ飛ばされてしまった
水彩に滲んだ二階の隅の教室には
野球部のかけ声と
パッヘルベルのカノンの
アンサンブル
わたしは渦にのまれ
ちぎれそうな ゆびさきで
今日も
明日も
明後日も
彼の白衣のしわを思い出そうとしている
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