光景/草野春心
すがる手を拒むように
早朝の冷気はすべすべしている
僕……僕は空き缶を捨てるため出かける
眠っているはずの街は
どこかうるさく感じられる
ちぐはぐな大きさの音のかけらが
そこらで飛び跳ねている
シケたゴミ箱がアパートの脇にあって
口のところにこんな張り紙がしてある
「関係ないゴミを捨てるなよ、コラ!」
と言うけれど関係ないゴミというのが
何のことなのかサッパリわからない
ともあれ空き缶を十個ほど
まとめて捨てるとすごく清々する
ついでに僕のこの両手も切り離して
捨ててし
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