1989年の少年に/都志雄
 
島!
荒れ狂う南氷洋の風で
ニュー・ジャージーを孕ませよ!


「宇宙論(レイアウト)」には鉈を、
おれたちの「宇宙論(レイアウト)」は、
ついに
拒否セヨ、受容セヨ、ナニモカモ!

コンビナートの膿にくすんだ水平線が
将門(マサカド)最期の日の朝になるまで

張りつめた3月の鏡が沸きたち
闇の底から幾千万の音声(おんじょう)の泉があふれ出るまで


崩れ去った塔の跡で泣く少女よ

凍てつく造成地で震える父親よ

下半身を失った歩兵よ

おれたちは眠らない

マトリョーシカの底はおれたちの信じるとおりの姿になるのだから

積み上がった瓦礫の上
ぼろきれのように
叫び、とび跳ね
この新たな世紀の明くる日も、明くる日も、
そのまた明くる日も
虚空に手を突き上げろ



「敗者たちのために!」


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