茶わん蒸しの唄/
吉岡ペペロ
出張さきの宴席で地元の方々が
茶わん蒸しの唄をやってくれた
いつもそれを覚えようとするのだが
芋焼酎がぬけた朝には忘れてしまっている
だからその晩はDVDをおくれよと頼んでおいた
翌日の朝の挨拶で
彼らは凛々しい顔をしていた
DVDの約束のことは出て来なかった
ただ今日もよろしくといった感じだった
茶わん蒸しの唄を覚えることは
たぶんこれからも叶わないだろう
あまく柔らかな
芋焼酎の香が幻のようによみがえった
戻る
編
削
Point
(9)