オーロラ/yo-yo
ゆうがた 河川敷でキャッチボールをする
おじさんとの日課だった
しばしば深い草むらにボールを見失う
ボールは地球の卵だからな
すぐに地球のふところに帰りたがるのさ
おじさんの口ぐせだった
いつかアラスカに行こう
それも おじさんの口ぐせだった
地球のてっぺんでオーロラを見ようぜ
ぼくがインフルエンザにかかって
三十九度の熱にうなされているとき
ほら地球の卵だ かわいがってやんな
ぼくの枕元にボールを放り投げて
おじさんはアラスカへ行ってしまった
そいつは
日当たりの良いところ
風通しの良いところが好きなんだ
ときどき きれいに洗ってやること
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