零の手/都志雄
 
  
ねぇ 和尚

いくら頭をひねってみても
片手に音は鳴りませぬ

無辺なる零(ゼロ)が「ある」ばかり

だから人は繰り返すのでしょうか
妙なる音を探し求めて




ねぇ 和尚

私のスコアボードには
永遠に零(ゼロ)が並ぶよう

近づくほどに「世界」は遠のき

そしてまた続くのでしょうか
零(ゼロ)の織りなすパターンで





ねぇ 和尚





沈黙もまた答えです




刈田を染める落日や

あなたの背に吹く南風

そこにも零(ぜろ)が舞い立って

手と手が鳴らすその音は












































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