鱗雲/まぁや
 
待っていたんだよ
まっしろな雲は君を取りこぼして
海の底へと沈めてしまったからね

ほらほら、
僕はきっと君を待っていた

真っ青な世界はそう
明日の夢の中へでもほおりこんでおいてさ

ぎりぎりとしなる荒縄の
雫はまもなく境界をなくして

あぁまたひとつきえていくよ

落ちるのはきっと君の庭に埋めた左手
あの日切り取った黄緑色は
きっともう食べられてしまっているだろうね

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