現はさみし/空都
、水晶の周りを歩いていると
私の後ろからぞろぞろと大勢ついてきて輪になった。
何をしているのですか、と尋ねると
『踊りを待っているのです』
と言った。
私はお腹が痛いので踊れません、と言うと
『どうぞ、ご自由に』と言われた。
私が輪の中から抜けるとすぐ、踊りは始まった。
踊っている人達は、歌をうたったり口笛を吹いたりした。
とても楽しそうだったが、私の入る場所は
もう、どこにも無かった。
仮病を使ったことを後悔した。
目が覚めるとまだ夜中だった。
朝になって一人で散歩をしていると
夢で見た畑に出くわした。
もちろん水晶はどこにも無かった。
戻る 編 削 Point(1)