久しく忘れず/吉岡ペペロ
 
湯をもとめ

山林にはいる

猪か、獣の臭いがする

腐葉土を踏み

靴底を滑らせてゆく

真実は

湯をもとめてはいない

獣を撃つことのみ

思考している、否、体がもとめている

殺したいのではない

銃を撃ちたいのでもない

獣を撃ち殺したいのだ

湯をもとめ

体を山林に同化させ

腐葉土の道すがら

獣を撃ち殺したいのだ

今生で自らの意志で

私の命に烙印を押したいのだ
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